9月28日(日)の午後、一般向け学習講座「珠洲のこれからを支えていくために~『復興』と言えるその日まで、長い支援の旅の途中で~」を開催しました。
講師としてお招きしたのは、令和6年能登半島地震の際、石川県珠洲市の健康増進センター長として保健福祉の最前線で指揮をとり、現在も復旧・復興本部健康サポート推進室 室長として住民の支援を続ける三上豊子さんです。
講座では、発災直後のご自身の動きや県内外からの支援の受け入れ、自主運営を含めると90か所を越えた避難所の課題など、被災者に寄り添ってこられた三上さんならではの経験を語っていただきました。話の中では、被災者を巡回して声を聞き取っても、1日で生活環境が変わってしまうような日々が続き、必要なサポートがあっても追い続けることが非常に難しいという現実にも触れられていました。
また、7か月に及ぶ断水がやっと解消し、住民が徐々に珠洲に戻り始めた矢先に豪雨災害が重なり、心が折れてしまいそうな姿を目の当たりにしたこと、そして戻りたくても珠洲に戻れない被災者と共に心を痛めてきたことも伝わってきました。
それでも一方で、避難者が支援に頼りきりになってしまう現実や、どこまでを支援し、どこで区切りをつけるのかという課題もあると語られました。近くで支えてきたからこそ、自立の必要性を実感されているという話の中で、なぜ自立が必要なのか「納得してもらう」という言葉が何度も出てきたことが印象的でした。
参加者からは、これからの能登の復興のために必要なことや、被災者支援に関心を寄せる質問が挙がり、一つひとつご自身の経験をもとに丁寧に答えてくださいました。
被災者でありながら支援を続けてこられた三上さんのお話からは、日頃からの地域のつながりや、過去の災害で築かれたご縁によって、今後の災害時にも大きな力になることを実感しました。あわせて、自分たちが同じような大災害に見舞われたときに、どのような行動ができるかを今から考えておく必要があると強く感じる時間となりました。三上さん、大変貴重なお話をありがとうございました。