7月25日(土)午前、一般向け学習講座「3.11 あの日の釜石東中の避難から学ぶ『命を守る行動』」を開催しました。講師は、東日本大震災当時、釜石東中1年生で津波避難を経験し、現在は愛知県の企業に勤務しながら語り部活動を続けている紺野堅太さんです。紺野さんには2年ほど前にも、講演とパネルディスカッションでお話いただきましたが、小中学校時代にどのような防災実践をしてきたのか、釜石東中の生徒たちが率先避難できた理由は何だったのかを改めてお聞きし、今私たちができることを考える機会とするために、再び講座をご依頼しました。
講座では、3月11日の発災直後、釜石東中学校の生徒たちが近隣の小学校の児童たちや地域住民とどのように避難したのか、判断のきっかけやタイミングについて時系列でお話しいただきました。津波避難を追体験するように、「どこに避難するか」の選択肢を示し、受講者に問いかけながら切迫した避難の様子をお聞きしました。
穏やかな表情でお話しされていましたが、避難時の状況や被災直後の避難所生活は壮絶と言えるような内容でした。親の生死がわからないまま過ごした数日、がれきの中に埋もれたおやつを探す子どもたちと、「メンタルがやられてしまうのでは」という状況だったそうです。当時の不安がひしひしと伝わってきましたが、中学生らしく仲間と励まし合いながら過ごしていたことや、「防災活動をしていた息子はきっとどこかに避難している」と信じていたご家族との再会というエピソードもあり、東日本大震災前から津波の教訓として伝えられてきた「津波てんでんこ」を、幼い頃から聞き育ってきた環境も大きかったようです。なにより、様々なことを想定した訓練や備えの積み重ねが、釜石東中学校の生徒や先生たちのとっさの行動につながったことを改めて知る時間となりました。
釜石東中の生徒たちが日頃から地域住民へ防災を呼びかけていたことに受講者の関心も高く、質疑応答では「防災訓練でどのような声掛けをしたら参加してもらえるか」「中学生を巻き込むにはどうしたらいいか」といった、日頃から地域で課題となっていることについての質問も上がりました。
現在は1歳のお子さんの父親でもある紺野さん。守るべき家族ができたことで、平時のコミュニケーションや家庭での備えの重要性をあらためて痛感したそうです。自分の命だけでなく、「家族の命を守る」ことについても深く考えさせられる講座となりました。